新しい薬が世の中で使われるためには、患者さんに協力して頂き、安全性や有効性を調べる試験を行い厚生生労働省の承認を得る必要があります。この試験を治験といいます。
病気の予防や治療をするために、名称、成分、分量、用法用量、効能効果、副作用について、品質・有効性及び安全性に関する調査を行い、 厚生労働大臣や都道府県知事が認めたものをいいます。
現在我が国では、一年間におよそ40 ~50種類の新しいくすり(新医薬品)が誕生しています。
新しくクスリが誕生するまでは、長い歳月と莫大な費用がかかります。そして綿密な研究や試験を行うなどたくさんの過程を経て発売されます。
私たちが生活している自然界の中から、未知の物質や、病気の治療に効果のありそうな化合物を探索することから始まります。 現代においては、既に効果が確かめられている化学物質などの分析によりある程度クスリとして使えそうな化学構造を予測して探す手法も用いられています。
また、バイオ技術やゲノム技術の進歩によって様々な生命現象を司る生命活性物質を人工的に生産してクスリとして用いられるようになってきています。 しかし、基本的には“探す”ことから始まります。
新薬の発見の歴史には、ペニシリンや外用育毛剤など、“ひょうたんから駒”のようなものもあります。
そして、探し出した物質をいろいろな角度から調べます。
ここでいう「調べる」とは、いきなり人間に試してみるのではなく、動物の細胞や、動物を使って様々なテストを行います。水に溶けやすいかどうか、すぐに分解してしまわないか、といった性質を調べたり、 実験動物の半数が死にいたる量やその期間を調べたり、またその物質が動物の生体にどのような影響を及ぼすか、効果があるか、安全性はどうかなど、たくさんのことを調べます。
また、実験結果から、人間の体にどのような影響があるかを予測します。
新しい薬が世の中で使われるためには、臨床試験を行い、厚生生労働省の承認を得る必要があります。
患者さんに協力して頂き、安全性や有効性を調べる試験を行います。この試験を治験といいます。
この段階でクスリとして使えそうな化学物質を「治験薬」と呼びます。
治験には、
・少数のボランティアなどによって、健康な人間を対象に安全性と有効服用量を調べるもの
・少数の患者さんを対象に効果や副作用、長期間使い続けていけるかなどを調べるもの
・たくさんの患者さんを対象に効果や安全性を最終的に確認するものがあります。
人体においても有効性・安全性が確認できたら、今までの試験の結果をまとめ、厚生労働省に「薬」として製造・販売する許可を申請します。厚生労働省(厳密にいうと中央薬事審議会)は、その内容を厳しくチェックし疑問がなければその物質を作った会社に製造・販売許可を承認します。
これでやっと「薬」が誕生します。
ですがここで終わりではありません!くすりの発売後も「より安全な使用法の確認」「より効果的な使い方」などの調査は続きます。
医師・臨床研究コーディネーターから治験の説明をします。
説明内容はGCP「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」に基づき目的・方法・予測される効果や副作用・費用などの項目について説明します。
参加する、しないは患者さんの自由意志です。参加されなくても、患者さんに最適な治療を行います。治験に参加同意いただいた患者さんには、同意文書にサインしていただきます。
治験に参加できるかどうか診察・検査を実施します。
参加基準をクリアした患者さんに治験薬を開始します。
治験薬使用中は定期的に来院して頂き、診察・検査を行います。
患者さんが安全に治療を実施して頂くために、次のことを守ってください。
治験に参加して頂いた患者さんには「治験参加カード」を、お渡しします。 他院に受診する場合、薬局で薬をもらう等の時に提示してください。治験の情報が記載されます。
かかりつけの病院には、「治験参加のお知らせ」を患者さんの承認を得て、送付します。 治験参加期間・治験薬と一緒に飲んでも良い薬・いけない薬等の治験情報をお知らせし、かかりけ医でも、今まで通りの診察が受けられるようにします。
水戸医療センターは、24時間治験薬使用中の患者さんに対応しています。