倫理審査委員会

倫理審査委員会 平成25年09月11日(水)

審議内容

申請者 消化器科医長 石田 博保
課 題 フッ化ピリミジン系薬剤、プラチナ系薬剤、トラスツズマブに不応となった進行・再発HER2陽性胃癌・食道胃接合部癌に対するパクリタキセル+トラスツズマブ併用療法vs.パクリタキセル単剤療法のランダム化第2相試験
研究の概要 トラスツズマブはHER2タンパクを標的とし、その働きを妨げることでがんの増殖を抑えようという考えから生まれたお薬です。HER2を過剰発現している転移性乳がんではトラスツズマブの効果が示され、世界中で広く用いられています。
胃がんにおいても、HER2を過剰発現しているものに対して、トラスツズマブを含んだ抗がん剤治療を行うことで、がんを制御する期間や生存期間を延長することが分かっています。そのような観点からHER2陽性が確認された胃がんに対して、現在一次治療(最初の治療)はフッ化ピリミジン系薬剤(5-FU、ゼローダ、ティーエスワンなど)、プラチナ系薬剤(シスプラチン・オキサリプラチンなど)、トラスツズマブ(ハーセプチン)を含んだ組み合わせが標準とされています。
また、一次治療でトラスツズマブを含んだ抗がん剤治療を行ってきましたが、がんの増大ないしは新たな部位にがんが出現した場合には、次の治療を検討する必要があります。
現在次に行う治療として標準的と考えられている治療は、パクリタキセル単剤療法です。パクリタキセルは胃がんに対してがんを縮小させたり、がんの進行を遅らせるといった有効性が確認された抗がん剤で、1回1時間以上かけて週に1回、毎週投与します。
一方で、HER2を過剰発現した乳がんの方に対しては、トラスツズマブを含んだ抗がん剤治療中に病状が悪化した場合、併用する抗がん剤のみを変更して、トラスツズマブを中止せずに継続して使用し続けることで、トラスツズマブを中止した場合と比較して、より長く病状を制御することが分かっています。しかしながら、HER2を過剰発現した胃がんまたは食道胃接合部がんの方に対しては、乳がんと同じようなことを検討した試験結果はありません。
そこで本試験では、標準的な治療法であるパクリタキセル単剤療法と、パクリタキセル療法にトラスツズマブを継続して使用した治療法の、有効性や安全性を比較して検討してゆきます。
判 定 承認
本審査は、全員一致で承認された。