倫理審査委員会

倫理審査委員会 平成26年12月10日(水)

審議内容

申請者 桜の郷看護学校教員 後藤 文子
課 題 臨地実習におけるカンファレンスの学びの実態
研究の概要 臨地実習において実習効果をあげるための一方法としてカンファレンスを実施している。カンファレンスの意義は、学生が集団討議をすることにより、実習上の課題の達成やグループメンバーとの学びの共有をすることにある。対象へ医療を提供する際、他職種との連携は不可欠であり、情報共有や情報交換をする上でもカンファレンスの重要性はますます高まっている。しかし、実習におけるカンファレンスが、参加者の事前学習の状況や参加態度により苦痛あるいは負担と感じられているという実態も明らかになっている。実習でのカンファレンスにおいてオーマンらは、「クライエントに関する情報を他者と共有すること、実践に関するディスカッションにおいて他者をリードすること、グループの中で自己の考えを述べること、学習効果を披露することは、学生が習得すべき重要な技能である。」と述べている。当グループメンバーの学校のカリキュラムの運営状況を確認しても、カンファレンスに関する内容を教育内容に位置づけて教授している学校は少ない。そこで今回、カンファレンスの体験から得られる学生の学びの実態を把握する。
判 定 承認
本審査は、全員一致で承認された。
申請者 3階東病棟看護師 白石 香織
課 題 患者のICU入室不安を軽減するための術前ICU見学のあり方の検討
~患者ニーズの把握による改善点の明確化~
研究の概要 ICUに入室する患者の不安を軽減するICU見学の在り方を検討するために、患者のICU入室に対する不安内容とニーズを把握し患者の不安内容とニーズから現在のICU見学方法の課題と改善点を見出す。
判 定 承認
本審査は、全員一致で承認された。
申請者 血液内科医長 米野 琢哉
課 題 JALSG参加施設に新たに発生する全AML,全MDS,全CMML症例を対象とした5年生存率に関する観察研究(前向き臨床観察研究)について(プロトコールの改訂)
研究の概要 当院は、日本成人白血病治療共同研究グループ(JALSG)に参加しております。JALSGでは、白血病および類縁疾患の患者さんの検査データ解析、予後の調査事業を行い、診療の改善にて役立てております。患者さんのデータは、個人が特定されないように匿名化し収集されております。詳細は、JALSGホームページhttp://www.jalsg.jp/をご覧ください。
また、研究内容につきましてご質問がある場合は、血液内科担当医師までご連絡ください。
判 定 承認
本審査は、全員一致で承認された。
申請者 消化器科医長 石田 博保
課 題 KRAS野生型の大腸癌肝限局転移に対するmFOLFOX6+ベバシズマブ療法とmFOLFOX6+セツキシマブ療法のランダム化第2相臨床試験(研究費支払いに関する改訂)
研究の概要  肝臓に転移のある大腸がんに対する治療法には、手術のような限局した場合への治療と、化学療法(抗がん剤治療)のような全身への治療となる薬物療法などがあります。転移した病巣が多数だったり大きかったりすると、転移した病巣を切除した残りの肝臓が小さくなってしまい、手術ができないことがあります。そこで、まず化学療法(抗がん剤治療)を行って、転移巣の大きさを小さくしたり、数を少なくしたりしてから手術することが行われます。一方、見た目には肝臓に転移した病巣を完全に切除できたとしても、残った肝臓や他の臓器に再発することがあります。肝臓に転移した病巣が多数あったり、大きかったりするとその再発する危険性は高くなります。そのため、手術だけでなく化学療法(抗がん剤治療)による治療を組み合わせることで、目に見えないがん細胞を死滅させることで再発が少なくなると考えられています。
肝臓に転移のある大腸がんに対する初回化学療法では、以下のような化学療法(抗がん剤治療)が行われます。
1.5-FU/l-LVとオキサリプラチン(以下FOLFOX:フォルフォックス)を用いた治療法
2.5-FU/l-LVとイリノテカン(以下FOLFIRI:フォルフィリ)を用いた治療法
3.FOLFOX療法にベバシズマブを併用する治療法
4.FOLFIRI療法にベバシズマブを併用する治療法
5.FOLFOX療法に抗EGFR抗体*(セツキシマブもしくはパニツムマブ)を併用する治療法
6.FOLFIRI療法に抗EGFR抗体*(セツキシマブもしくはパニツムマブ)を併用する治療法
7.5-FU/l-LVとオキサリプラチン、イリノテカン(FOLFOXIRI:フォルフォキシリ)を用いた治療法
*:セツキシマブもしくはパニツムマブはKRAS遺伝子**に異常がない状態でのみ使用されます
**:KRAS遺伝子は、大腸癌の発癌過程において重要な役割を担っている癌遺伝子です。異常がある場合、癌細胞にとって都合の良いシグナル(信号)伝達を遮断できず、EGFRを介した抗EGFR抗体の治療効果がないことが分かっています。
私たちは化学療法(抗がん剤治療)の有効性と安全性を総合的に判断して、それぞれの患者さまにとってもっとも良いと考えられる治療を行っています。肝臓に転移のある大腸がんの治療の標準的な治療として、FOLFOX+ベバシズマブ併用療法、FOLFOX+抗EGFR抗体併用療法がもっとも治療効果が期待できる治療法の一つとされており、いずれも用いられています。
ベバシズマブは、がん細胞に直接作用して効果を表す他の抗がん剤とは異なり、がん細胞が成長し増殖していく際に必要な血管を作ったり、増やしたりすることを促進する物質であるVEGF(Vascular Endotherial Growth Factor:血管内皮細胞増殖因子)の働きを阻害することのできる薬剤です。
また抗EGFR抗体(セツキシマブ、パニツムマブ)は、がん細胞の増殖に関わる物質であるEGFR(Epidermal Growth Factor Receptor:上皮成長因子受容体)の働きを阻害することのできる薬剤で海外で行われた臨床試験によって、大腸がんの初回化学療法にベバシズマブ、もしくは抗EGFR抗体を併用することで、がんを縮小させたり、生存期間を延長したりできることが報告されています。しかし、ベバシズマブ、セツキシマブのどちらを併用するのが良いのかは、はっきりわかっていません。これは、肝臓のみに転移のある大腸がんの初回化学療法も同様です。
今回の臨床試験は肝臓のみに転移のある大腸がんの初回化学療法として、FOLFOX療法にベバシズマブ、もしくは抗EGFR抗体の一つであるセツキシマブを併用する化学療法(抗がん剤治療)を行い、どちらが良いのか探るために行います。
判 定 承認
本審査は、全員一致で承認された。