倫理審査委員会

倫理審査委員会 平成27年07月08日(水)

審議内容

申請者 消化器科医長 石田 博保
課 題 大腸憩室出血に対する留置スネアを用いた内視鏡的止血術の有効性の研究
研究の概要 大腸憩室出血は下部消化管出血の原因として最も頻度が高い疾患です。多くは自然止血し、保存的加療(点滴治療など)で経過することもありますが、25~47%で再出血を来します。現在、内視鏡的止血術としてクリップ法が多く行われ、比較的簡便で低コストではあるというメリットがある反面、約33%の再出血が認められています。近年、Endoscopic band ligation(EBL)法というゴムバンドによる出血憩室の結紮術が広まりつつあり、再出血率は約11%程度とクリップ法よりも低く有用であるという報告がされています。しかし、この方法では内視鏡の視野が狭まり、出血源を同定する事が難しくなったり、また出血点を確認後に一旦スコープを抜去し装置を装着し再挿入する必要があり、止血開始までに時間を要します。そこで、この方法と原理は同じで内視鏡の再挿入を必要とせず施行できる新たな止血法として留置スネアを用いた結紮止血法(留置スネア法)を考案しました。
従来よりポリープ切除後の出血予防目的に古くから留置スネア(内視鏡用ループ結紮器)が一般的に使用されています。留置スネアは静脈瘤結紮術装置と同様の原理の結紮器で、熟練した技術は必要ありません。留置スネアを大腸憩室に使用し有効であった報告(K.Akimaru ら Journal Nippon Medical School 2008;75:157-161.)があります。また筑波大学消化器内科にて大腸憩室出血に対して、留置スネアを用いることで、内視鏡の再挿入を要さずに短時間で効率よく止血効果が得られることを報告しています。
今回、私たちは留置スネアを用いた内視鏡的止血術により、患者さんの治療に伴う負担を軽減しつつ再出血率が減少できると考え、本臨床自主試験を計画致しました。筑波大学を中心として当院も含め11施設にて実施しております。当院に血便にて入院した方に本試験のご説明をさせていただくことになりますが、ご理解とご協力を頂きご参加いただければと思います。
判 定 承認
本審査は、全員一致で承認された。
申請者 消化器科医長 石田 博保
課 題 RAS遺伝子野生型で化学療法未治療の切除不能・進行再発大腸癌患者に対するmFOLFOX6+ベバシズマブ併用療法とmFOLFOX6+パニツムマブ併用療法の有効性及び安全性を比較する臨床試験
研究の概要 化学療法未治療の切除不能・進行再発大腸癌患者に対する(初めて使用する化学療法)では、臨床研究において効果が示されており、かつ保険診療として国内で使用可能である治療法が選ばれます。特に、フッ化ピリミジン系抗がん剤を中心とした化学療法が選択されます。また最近の分子生物学の進歩によって開発された以下のいずれかを、この化学療法と組み合わせて使用することで、更なる効果が期待できることがわかっています。
1)腫瘍の増殖を抑制する分子標的薬(パニツムマブ)
2)腫瘍の血管新生を阻害する分子標的薬(ベバシズマブ)
mFOLFOX6療法とは、切除できない進行再発大腸がんに対する代表的な併用化学療法です。また、mFOLFOX6+パニツムマブ併用療法、及びmFOLFOX6+ベバシズマブ併用療法とは、このmFOLFOX6と分子標的薬との代表的な組み合わせ療法です。化学療法未治療の切除できない進行再発大腸がんの患者さんのうちで、KRAS/NRAS両遺伝子に変異を認めない(RAS野生型)患者さんを対象としてmFOLFOX6療法にパニツムマブもしくはベバシズマブを併用した場合の有効性(どれだけ効果があるか)と安全性(どんな副作用があるか)を調べる事を目的としています。本試験に該当する患者さんにはご説明をさせていただくことになりますが、ご理解とご協力を頂きご参加いただければと思います。
判 定 承認
本審査は、全員一致で承認された。