倫理審査委員会

倫理審査委員会 平成27年12月09日(水)

審議内容

申請者 7階東病棟看護師 海老澤 佳
課 題 フィラデルフィアカラーの除圧素材の検証
研究の概要 当病棟において外傷による頚椎の骨折や脱臼、変形による椎弓形成術を受けた患者は平成25年度に年間16名入院であった。手術後の患者は、頚部保護の為に頚椎装具を2ヶ月程度装着される。病棟では頚椎装具としてフィラデルフィアカラーを使用している。(以下カラーと略する)
この治療に対して患者からは同じ部位圧迫による疼痛や継続的圧迫による不快感から外してほしいと訴えが聞かれることがある。この訴えに対応する為に医師との相談の元に頚部の清潔保持と除圧を目的にカラーを一時的に外したり、皮膚トラブルがないか確認している。また直接皮膚にあたることによる不快感の軽減のために皮膚の保護やカラー装着による発汗の吸収を目的とし、タオルを装具内にあてている。カラー装着による褥瘡は平成25年度は後頭部に1件発生している。多くの患者は褥瘡発生までに至らないとしても下顎の発赤や痛みを訴える。看護師は、除圧や観察のため一時的に外す、2時間ごとに体位交換を実施している。しかし圧の分散は十分とは言えずより効果的な除圧を行う必要性があると考える。
現在当病棟では、看護師は患者の状態に合わせ、疼痛部位にガーゼを1枚ずつあてたり、疼痛範囲に合わせてレストン粘着ホームパッドの大きさを変えて貼付している。タオルを用いた場合は、首に巻いたり後頸部または前頚部のみに当てるなど患者の訴えや皮膚の状態を見て対応している。しかし、実際にカラー装着時の圧測定を行ったことはなく除圧効果は不明である。
そこで私たちは、タオルやレストン粘着ホームパッド、ガーゼを使用することで除圧効果が得られているのか、また、それぞれの素材の除圧効果に差はあるのか、付け心地はどうか検証したいと考えた。また、現在取り入れてはいないが頚椎装具内のあて布の先行研究(阿久津他 頚椎装具患者の援助 装具内のあて布素材の検討 2002)より皮膚保護に最も適した素材としてあげられたガーゼハンカチを研究素材として選択する。これらの素材の中のガーゼハンカチは、先行研究にて皮膚保護材として効果があるとされており、本研究上効果的な除圧が行えた場合に最も患者に適した素材になると考える。研究結果は患者の訴え・頚部の状態に応じた有効な除圧を選択する上での基礎研究になると考える。
判 定 承認
本審査は、全員一致で承認された。
申請者 循環器科医長 小泉 智三
課 題 心房細動合併患者における冠動脈ステント留置後の経過を見る多施設共同レジストリー(MILESTONE Study)
研究の概要 (背景)
経皮的冠動脈形成術(ステント留置術)を受けた患者さんは、ステントを留置した部位やその周辺に血栓が形成されて再閉塞すること(ステント血栓症)を予防する為、一定期間2種類の抗血小板薬(アスピリンとクロピドグレルなど)の内服が必要になります。一方で、心房細動という不整脈は、不整脈のために心臓内に血栓ができる可能性があり、できた血栓により起こり得る脳梗塞や全身性血栓塞栓症の予防のため、作用機序の異なる抗凝固薬(ワーファリン等)の内服が必要になる場合があります。両方の病気をお持ちの患者さんは、これら2種類の抗血小板薬と1種類の抗凝固薬を合わせた3種類の抗血栓薬を併用して内服しなければならない可能性があり、抗血小板薬・抗凝固薬の副作用である出血性合併症の確率が上昇することが懸念されますが、これらの薬剤併用に関する有効性、安全性、至適な内服期間に関する過去の報告はかなり少ないのが現状です。
(研究の目的)
心房細動ですでに抗凝固薬を内服している患者さんで、今回冠動脈ステント留置術を受けられる患者さんを対象とし、内服薬の服薬状況と、患者の状態、出血性合併症の有無や程度、検査結果などを調査し、より適切な内服薬の組み合わせや内服期間を見出し、同様な患者さんへの治療方針を決定することを目的としています。
(どのような患者さんにご協力をお願いしているか)
既に心房細動に対する抗凝固薬を内服されている患者さんで、今回虚血性心疾患に対する経皮的冠動脈形成術を予定されている患者さんにお願いしています。
(研究の方法)
既に心房細動に対して抗凝固薬を施行中の患者さんで、虚血性心疾患の治療のために「エベロリムス溶出性ステント(商品名:ザイエンスV,プロマス,ザイエンス プライム,ザイエンス エクスペディション)」を使用した冠動脈形成術を施行する予定の患者さんを対象とし、この研究への参加にご同意いただいた患者さんを登録させていただきます。
 ステント留置術施行前の検査結果や患者さんの情報から研究項目の記録を開始し、ステント留置の時点、退院の時点での出血性合併症の有無、その後の心臓の状態あるいは使用された薬剤などの診療情報を集めさせていただきます。
 また、手術後30日(前後7日含む)、手術後1年(前後30日含む)には、外来での受診(あるいは電話での状況調査)をお願いさせていただきます。
(この臨床研究にご参加いただく患者さんの人数とご協力いただく期間)
この臨床研究には、国内の100名の対象となる患者さんにご協力いただく予定です。
患者さんがこの臨床研究にご同意いただいた日から、ステントを使用した後の手術後1年(前後30日含む)までがご協力いただく期間になります。
(調査項目)
 1.手術前:患者背景情報、定期服用薬、手術前に実施した心臓評価情報、手術に際して開始した薬剤情報、手術に際して中止した薬剤情報
 2.手術に際しての情報:手術関連情報、心臓の状態
 3.手術終了時(退院時):心臓の状態、手術終了に際して開始(再開)した薬剤情報、手術終了に際して中止した薬剤情報
 4.手術後30日(前後7日含む):健康状態
 5.手術後1年(前後30日含む):健康状態
(予測される危険性)
本研究に参加することで追加される危険性は特にございません。
(この研究へご協力いただける場合の診療について)
この研究は観察研究であり、通常の診療で得られる情報を系統的に集めて解析しようというものです。従って、この研究へご協力いただいた患者さんだけに特別な検査をしたり、特別なお薬を飲んで頂いたり、通常は行わない治療を行うというようなことは一切ありません。また、特に追加で守っていただくことはございません。普通の診療どおりです。
研究のために検査結果などの診療情報が集められますが、それらをここに説明する研究以外の目的で使用することは一切ありません。
(費用負担)
この研究は通常の診療で得られる情報を系統的に集めて解析するものです。すべて一般の保険診療の範囲で行われますので、この研究にご協力いただくことで、患者さんの費用負担が増加するというようなことはありません。
(秘密保持)
ヘルシンキ宣言(ヒトを対象とする医学研究の倫理的原則)に基づいて、患者さんの人権、プライバシーは保護されています。本研究の結果は、国内、海外の学会で発表され、結果をまとめた論文を海外の医学雑誌に投稿する予定ですが、最低限の個人情報(性別、年齢、各検査データ)以外の個人情報は使用されません。当然、個人を特定するに至るような個人情報が公開されることはありません。
(臨床研究への参加が中止される場合)
この臨床研究への参加に同意いただいても、次の場合にはあなたの臨床研究への参加を中止させていただきます。または、この臨床研究全体を中止させていただきます。
 1.この臨床研究が開始された後に有害事象などが発生した場合
 2.あなたがこの臨床研究への参加の同意を撤回した場合
 3.担当医師によりこの臨床研究への参加・継続を中止した方がいいと判断された場合
(臨床研究に関連して健康被害が発生した場合の治療および補償について)
この臨床研究にご参加されている間に、あなたの身体になんらかの症状や身体の不調がありましたら、すぐに担当医師にご連絡ください。すみやかに適切な診療と治療を受けることができます。その際の費用については健康保険で対応させていただきます。
また、この臨床試験では補償はいたしませんので、ご了承ください。
(この臨床研究の研究資金拠出者と利益相反)
この臨床研究で使用されるエベロリムス溶出性ステント(商品名:ザイエンスV,プロマス,ザイエンス プライム,ザイエンス エクスペディション)の製造販売会社であるアボットバスキュラージャパン株式会社が、この臨床研究の研究資金拠出者です。研究資金拠出者は、研究計画書の作成には関与いたしましたが、研究の実施、データの収集や統計解析などへは関与いたしません。
また、治療方針やその内容については担当医師に一任されます。
本研究における企業等との利害関係については、当院の利益相反委員会の審査と承認を得ており、関連する企業等と研究の信頼性を損ねるような利害関係を有していないことが確認されています。
(この臨床研究の研究担当医師と問合せ先)
治療内容や研究について解らないことや更に詳しい内容をお知りになりたい場合は、いつでも研究担当医師にお申し出ください。
研究担当医師:国立病院機構水戸医療センター 循環器科 小泉智三
連絡先:〒311-3193 茨城県東茨城郡茨城町桜の郷280
電話:029-240-7711
判 定 承認
本審査は、全員一致で承認された。