倫理審査委員会

倫理審査委員会 令和02年09月09日(水)

審議内容

申請者 脳神経外科 山崎 友郷
課 題 脳動脈瘤コイル塞栓術治療におけるTarget XL coilの有用性
研究の概要 脳動脈瘤コイル塞栓術においては、術後の再発率を抑えるため高いvolume embolization ratio(VER)を得ることが重要である。Target XLはコイル素線径を大きくすることにより高いVERを得る一方、柔軟性を合わせもつ特徴を有しており、一定以上のサイズの脳動脈瘤治療で有用と考えられる。当院において破裂脳動脈瘤に対してコイル塞栓術を施行した症例でXL使用群と非使用群とに分け、その効果と有用性を後方視的に比較検討した。
判 定 承認
本審査は、迅速審査にて承認された。
申請者 脳神経外科 阿久津 善光
課 題 脳主幹動脈閉塞症におけるpartial Diffusion-FLAIR mismatchの意義の検討
研究の概要 脳主幹動脈閉塞症で経皮的血栓回収術を受けられた患者様において、特定のMRI画像所見に注目し、転帰との関連を検討する。
判 定 承認
本審査は、迅速審査にて承認された。
申請者 外科 小﨑 浩一
課 題 腹水濾過濃縮再静注法(CART)における採取腹水長期低温保存の臨床使用への可能性の検討
研究の概要 2019年度の院内臨床研究では、採取腹水を低温保存(4℃・24時間保存)し、24時間低温保存腹水を用いてのCARTは安全に施行できることを見出し、CART療法の保険診療上の縛りである2週間に1回という中で、CARTの適応拡大への道を開き、実際に千葉県の病院では当院の結果を基にして低温保存腹水を用いたCARTを施行した。2020年度の臨床研究計画は2019年度の研究をさらに進め、採取腹水の低温保存期間を延長し、その濾過濃縮腹水によるCARTが安全に施行できるかを検討することを目的とした。本研究で、長期低温保存腹水を用いて安全にCARTが施行できるならば、2週間に1回という保険診療上の縛りの中でCARTを必要とする多くの患者の福音となると考える。
判 定 承認
本審査は、迅速審査にて承認された。
申請者 リハビリテーション科 石井 俊介
課 題 救命救急センター搬送患者におけるリハビリテーション介入の実態調査
研究の概要 本研究は、当院救命救急センターに入院した患者においてのリハビリテーション介入率や介入開始までの期間等の現状を把握することを目的とする。本調査により当院のリハビリテーションが本邦における急性期リハビリテーションの実際、各種ガイドラインにて推奨されているリハビリテーション介入時期等と比較することが出来る。
判 定 承認
本審査は、迅速審査にて承認された。
申請者 放射線科 大曽根 敏彰
課 題 中等から重症外傷疾患患者におけるフレイルと長期予後(自然史、QOL、社会復帰)との関連:コホート研究
研究の概要 フレイルと中等から重症外傷患者さんの関係性を見つけることが目的です。既存の外傷患者コホートデータと、対象者の腹部CT情報を統合したデータベースを作成して解析します。フレイルとは『Frailty』の日本語訳であり、高齢期に物事に対する予備能が低下することでストレスに対する弱さが亢進し、生活機能が障害され、要介護状態、死亡などに陥りやすい状態のことです。身体の問題だけでなく、認知機能や精神・心理的問題、独居や経済的困窮などの社会的問題を含む概念です。フレイルは様々な悪い結果と関連していて、死亡、転倒・骨折、認知症の発症、多剤服用、入院・施設入所、ADL障害などと関係します。従って、中等から重症外傷患者においてもフレイルであるか否かにより、短期予後・長期予後が異なると考えられます。今回の研究ではフレイルの原因の1つであるサルコペニアの情報を用いてフレイルと外傷予後の関連を検討します。サルコペニアはCTの値から推定します。超高齢社会である日本において、外傷患者さんの長期予後は大きな問題となり、これから高齢化を迎える世界の先駆であるという意味でも重要な課題です。
判 定 承認
本審査は、迅速審査にて承認された。
申請者 薬剤部 庄司 航
課 題 中等から重症外傷疾患患者におけるポリファーマシーと長期予後(自然史、QOL、社会復帰)との関連:コホート研究
研究の概要 フレイルと中等から重症外傷患者さんの関係性を見つけることが目的です。対象者の服用歴(カルテ記載)から服用薬剤数・服用薬剤種類を抽出し、既存のデータと作成したデータと統合して解析します。世界保健機関(WHO)の定義では、ポリファーマシーとは5剤以上の定期薬の服用とされています。ポリファーマシーは、『不適切処方』とも言われ、薬物相互作用や転倒、認知症、入院等のリスクと関連し、服用薬数を減らしていくことは、世界的に大きな課題となっています。またポリファーマシーは、多疾患併存状態(2つ以上の長期にわたる併存疾患の存在)とも関係が深く、ポリファーマシー、多疾患併存状態それぞれが外傷患者さんの長期予後の悪化に関連していると考えられています。さらに、外傷(不慮の事故)は平成30年の死因6位であり、子供や若年層の死因の第1位、2位を占め、社会的損失の大きい健康問題です。従って、中等から重症外傷患者さんにおいてもポリファーマシーであるか否かにより、その短期予後・長期予後が異なると考えられ、ポリファーマシーを是正する事で、外傷患者さんの長期予後も改善することが期待されます。特に超高齢社会である日本において、中等から重症外傷患者さんの長期予後は社会的にも大きな問題となり、これから高齢化を迎える世界の先駆であるという意味でも重要な課題です。
判 定 承認
本審査は、迅速審査にて承認された。
申請者 リハビリテーション科 中津川 泰生
課 題 橋損傷患者にみられる高次脳機能障害の調査と機能予後に関する検討
研究の概要 脳卒中などにより橋を損傷した患者は前頭葉症状に由来した高次脳機能障害を呈することがあり、その割合や転帰先を含めた検討は少ない。前頭葉機能障害が日常生活動作との相関を認めた報告があり、橋損傷患者においても前頭葉機能障害を有することが日常生活動作や転帰先へ影響を与えることが考えられる。そのため本研究では橋損傷患者において前頭葉機能障害を呈する割合を調査することで患者の自宅復帰を考える上での一助となりえる。
判 定 承認
本審査は、迅速審査にて承認された。
申請者 リハビリテーション科 木村 匠吾
課 題 肺がん周術期患者に対するリハビリテーション介入効果の検討
研究の概要 肺がん周術期患者において、リハビリテーションの必要性は示唆されますが、確立されたエビデンスは少ないです。本調査は、肺がん患者の周術期リハビリテーション介入の有用性及び退院時の運動指導により、入院中の合併症を予防し、退院後の呼吸機能に改善があるかを調査することを目的とします。
判 定 条件付承認
修正後の書類を提出することを条件に承認とする。
申請者 診療放射線部 大川 綾子
課 題 デュルバルマブ併用放射線治療における放射線肺臓炎のリスク因子解析 多施設共同後ろ向き観察研究
研究の概要 (1)背景・目的
同時化学放射線治療は切除不能非小細胞肺癌に対する標準的な治療法です。近年、化学放射線治療後にPD-L1モノクローナル抗体であるデュルバルマブの生存延長効果が認められ、維持療法としてデュルバルマブが使用されることが増えてきました。維持療法としてのデュルバルマブ投与と、放射線治療の照射方法、正常肺への照射線量・体積との因果関係を明らかにすることが目的です。
(2)対象及び方法
茨城県内で肺がんに対し、同時化学放射線治療を施行した症例で、2021年3月までにデュルバルマブを使用した全症例を対象にします。放射線治療の照射方法、正常肺の照射線量・体積を、患者情報を匿名化し、臨床研究データベース(ACReSS)に登録します。
(3)実施場所
茨城県内で放射線腫瘍科医が勤務している病院による多施設共同研究になります。
(4)審査を希望する理由
臨床研究の安全性、妥当性の評価を行うためです。
判 定 承認
本審査は、迅速審査にて承認された。
申請者 看護部 仲宮 優子
課 題 腎不全看護に携わる看護師の腎代替療法選択支援充実度と、腎移植看護に対するニーズ調査:横断研究
研究の概要 本研究は腎移植看護に関わったことのない腎不全看護に携わる看護師(以後、腎不全看護師)に対し、当院が腎移植施設として適切な腎代替療法の情報提供ならびに、腎移植看護を提供するためのニーズを調査し、腎移植看護の質の均てん化を目的とする。調査対象者は腎移植看護を主たる業としていない腎不全看護師とし、機縁法を用いて200名を対象とする。対象者背景、腎代替療法選択支援の充実度、腎移植看護に対する情報ニーズについてinternet-basedの調査する。
判 定 承認
本審査は、迅速審査にて承認された。
申請者 外科 米山 智
課 題 胃切除後の再建形式と骨格筋量減少の関連
研究の概要 胃癌に対する治療法には進行度により内視鏡的治療や手術、化学療法等が行われる。内視鏡的治療や化学療法が発達した現在においても外科的切除は主要かつ根本的な治療法である。胃癌に対する手術としては胃全摘術、幽門側胃切除術、噴門側胃切除術、縮小手術等が行われる。なかでも胃全摘術もしくは幽門側胃切除術は行われる頻度が高い。幽門側胃切除術の再建方法としてはBillroth-Ⅰ(B1)法、Billroth-Ⅱ(B2)法、Roux-en-Y(RY)法等、種々の再建方法が行われている。それぞれの再建方法は解剖学的な理由や術者の習熟度等を基に選択される。
B1法以外の再建法では食物が十二指腸を通過しないため、栄養の消化吸収に際して不利であるといわれているが、明確なエビデンスが乏しい。よって本研究では胃切除後の再建方法と術後栄養状態、特に骨格筋量に着目して検討する。幽門側胃切除術後の再建方法の違いにより術後の骨格筋量に差が生じることが明らかになった場合、今後は極力その再建方法は避けるべきというエビデンスとなりうる。胃切除術後の骨格筋量減少は長期成績と関連するとの報告もあり、本研究を通じて胃癌治療成績の向上につなげられる可能性がある。
判 定 承認
本審査は、迅速審査にて承認された。
申請者 呼吸器科 沼田 岳士
課 題 アファチニブを第一選択薬としその後オシメルチニブ投与例、及びオシメルチニブを第一選択薬とした症例の予後に関する茨城県内多施設共同調査
研究の概要 進行・再発の非小細胞肺癌に対する薬物治療において、EGFR遺伝子に変異を有する症例に対しては、EGFRチロシンキナーゼが第一選択薬として用いられている。さらに、その中でもオシメルチニブが第一選択薬に位置付けられているが、日本人集団におけるまとまった報告は少ない。「アファチニブを第一選択薬としその後オシメルチニブ投与例」及び「オシメルチニブを第一選択薬とした症例」の予後について茨城県内の多施設で情報集積・共有することで、今後の診療成績の向上に寄与できると考える。
判 定 承認
本審査は、迅速審査にて承認された。
申請者 呼吸器科 遠藤 健夫
課 題 フェノタイプ・エンドタイプに着目した本邦の喘息患者における3年間予後の検討
研究の概要 研究計画書の変更申請
判 定 承認
本審査は、迅速審査にて承認された。
申請者 心臓血管外科 佐藤 真剛
課 題 急性期大動脈解離に対するステントグラフト治療の至適治療法の検討
研究の概要 当院にて大動脈解離と診断され、発症後1年以内にステントグラフト内挿術によるエントリー閉鎖を行った症例のうち、術後臨床的追跡調査が可能であるおよそ20~30例を対象に検討を行う。術後1年まで追跡行い、周術期合併症との関連、解離腔のリモデリング効果、予後について検討を行い、当施設でのプロトコールの妥当性を検討する。
判 定 承認
本審査は、迅速審査にて承認された。
申請者 外科 中村 亮太
課 題 肺癌術前患者における至適筋肉量評価の方法について PMIとBIA法での比較検討
研究の概要 我々は、肺癌術前の骨格筋量減少は、術後合併症の発生頻度や予後に影響することを、先行研究で報告してきた。しかし、筋肉量の評価方法は一つではなく、多数報告されている。主に、消化器癌での精査の報告が多いが、肺癌に特化すると皆無である。そこで、当院で肺がんと診断され、手術前に筋肉量の評価として①CTを用いたPMI法、②体組成計を用いたBIA法の2種類で評価し、相関関係が認められるか評価する。また、術後合併症の危険因子として先行研究ではPMIは危険因子として認めたが、BIA法では危険因子になりうるか評価することを目的とする後方視的な観察研究である。
判 定 承認
本審査は、迅速審査にて承認された。
申請者 消化器科 石田 博保
課 題 当院における針刺し事故等の体液暴露事故における発生時および経過観察に関した実態調査
研究の概要 医療現場において血液や体液などが医療者に曝露してしまう針刺し事故などの医療事故は起こりえる。そういった事故を起こさぬよう、様々な取り組みも行われている。また一方でそのような事故が起きた際の対応も重要となる。そういった場合はプロトコールに沿って対応することとなるが、血液・体液暴露の際の実際の診療、経過観察等はケースバイケースであることが多い。今回はそういった事故発生後の当院における過去の事例を分析することで問題点を抽出し、改善に役立てることを目的とする。具体的には臨床所見・経過や検体検査の項目頻度、最終的な転帰などを収集し分析する。
判 定 条件付承認
修正後の書類を提出することを条件に承認とする。
申請者 外科 小﨑 浩一
課 題 難治性腹水に対する改良型腹水濾過濃縮再静注法(KM-CART)の研究
研究の概要 研究期間の変更申請
判 定 承認
本審査は、迅速審査にて承認された。
申請者 救急科 堤 悠介
課 題 機械学習を用いた外傷患者に対する全身CTの効果に関する異質性の検証
研究の概要 外傷患者に対する全身CTの選択的CTに対する予後改善効果は広く知られているが、外傷患者一律に予後改善効果があるとは考えにくく、より効果の大きい患者・小さい患者などの効果の異質性が存在すると考えられる。全身CTは過度の放射線被ばくなどの副作用もあることから、こうした異質性に基づきより効果が大きい患者に全身CTを適応することは非常に重要である。そこで日本外傷データバンクを用いて、治療効果異質性を検証する機械学習アルゴリズムにより様々な要因に基づく全身CT効果の異質性を検証し、予測治療効果を算出することで、より適切な患者選択に貢献することを目指す。
判 定 条件付承認
修正後の書類を提出することを条件に承認とする。
申請者 救急科 土谷 飛鳥
課 題 外傷における包括的長期予後データベースの構築とテーラーメイド型退院後医療の確立~中等から重症外傷疾患に対する病院生存退院後の自然史、QOL、社会復帰に関する多施設共同研究~
研究の概要 研研究計画書、説明文書・同意文書、公告用文書の変更申請
判 定 承認
本審査は、迅速審査にて承認された。