倫理審査委員会

倫理審査委員会 令和05年07月12日(水)

審議内容

申請者 神経内科 相澤 哲史
課 題 消化器癌および泌尿器癌患者における免疫関連有害事象(irAE)発現に影響を与える因子を探索する後ろ向き症例集積研究
研究の概要 免疫チェックポイント阻害薬(immune check point inhibitors: ICIs)による免疫関連有害事象(immune related adverse events:irAEs)の発現リスクに関わる可能性のある血清自己抗体が、irAEs発症例においてICIs投与前に存在しているかを調べられる環境を整えることを目的とする。本研究ではirAEsを発症した症例で、ICIs開始前に遡って自己抗体を測定できるよう、当院消化器内科および泌尿器科でICIs治療を行う全例の治療前血清を、診療で行われた採血(生化学検査)の残りの血清を利用して1-2mLを凍結保存し、irAEを発症した症例でのみ遡って個別にICIs開始前に自己抗体を有していたかを測定し、リスク因子として有用であるかを検証する。
判 定 承認
本審査は、迅速審査にて承認された。
申請者 栄養管理室 味原 稔
課 題 胃がん患者周術期及び術後の栄養評価と体組成変化について
研究の概要 胃がん術後は様々な要因で体重が減少し、術後一週間が最も多いと言われているが、体組成についての報告は少ない。また近年国民健康・栄養調査において、多周波数BIAを用いてサルコペニアの診断基準に含まれる骨格筋指数(SMI)のデータが収集され、男女ともに年齢が高いほど有意に骨格筋量が減少していることが明らかになっている。胃がん切除術の患者においても、高齢化の影響を受けており、術前からサルコペニア(加齢に伴う筋肉量や筋力の低下)や栄養状態の低下があることは、術後の合併症発生に関連するとされ、適切な栄養介入が必要と考えられる。今回胃がん術前の栄養評価を行い、体組成の経時的変化を調査する。
判 定 承認
本審査は、迅速審査にて承認された。
申請者 整形外科 江藤 文彦
課 題 高エネルギー外傷に伴う胸腰椎椎体骨折に対する安静臥床期間を設けない保存治療に関する前向き観察研究
研究の概要 青壮年期の胸腰椎椎体骨折に対する保存治療は慣例的に3-4週間の安静期間を設けることが多いが、安静臥床の必要性について確立した見解はない。安静臥床を要さない保存治療で良好な臨床成績が得られれば従来の長期安静による治療と比較して入院期間の短縮や全身合併症の低減につながると考えられる。本研究では胸腰椎椎体骨折に対して安静臥床期間を設けずに体幹装具を装着して離床するプロトコルで保存治療を行い、臨床成績を検討する。
判 定 承認
本審査は、迅速審査にて承認された。
申請者 整形外科 小川 健
課 題 手指化膿性疾患治療に関する後ろ向き症例集積研究
研究の概要 手指化膿性腱鞘炎は早期に適切な治療を行わないと著しい機能低下をきたす疾患である。十分な腱滑膜切除が唯一の治療法とされ、術後に菌が同定されれば有効な抗菌薬の持続点滴を行う。菌が同定されないことも多く、エンピリックに広域スペクトラムの抗菌薬を点滴または内服投与することもある。一方で、化膿性関節炎や骨髄炎の治療として閉鎖性持続洗浄療法(NPWT)が開発され、日本国内でも広まってきている。手指の化膿性疾患に対して、このNPWTを併用した報告が近年散見され、その効果が期待されている。手指化膿性疾患(腱鞘炎と化膿性関節炎)に対して、当院では徹底的な洗浄と滑膜切除に加えて、可能な限りNPWTを併用することで、治療成績の向上を図っている。今回、その治療成績をまとめ、従来法との比較、治療にあたってのメリット・デメリットなどもまとめて報告していく。
判 定 承認
本審査は、迅速審査にて承認された。
申請者 看護部 小川 直子
課 題 食道癌患者への動画による経腸栄養管理指導の検討
研究の概要 近年、在院日数の短縮化に伴い、病棟看護師には効果的な退院指導が求められている。食道癌患者の栄養管理において、経腸栄養が重要であり、術後早期から指導を行う必要がある。しかし、退院指導経験のある看護師に偏りがあることや紙面パンフレットのみの指導では時間がかかることなどから、在院日数が長くなることがある。そこで経腸栄養管理方法を動画で作成し、タブレットで提供することで、患者のペースに合わせた学習の機会を与えることが出来ると期待される。既に食道癌の手術を行い経腸栄養管理を行ったことがある患者へ動画視聴・インタビュー協力依頼を行い、動画を用いた経腸栄養指導の評価を行うこととする。今後の退院指導への改善点の明確化を目指す。
判 定 承認
本審査は、迅速審査にて承認された。
申請者 放射線科 金居 啓介
課 題 急性期脳梗塞における最大値投影画像を用いた頭部単純CTの有用性
研究の概要 多くの医療機関では超急性期脳梗塞に対する画像診断は頭部単純CTが第一選択とされる。しかし、急性期脳梗塞の画像所見であるearly CT sign(以下ECS)は医師の読影経験と知識が検出に影響するといわれる。MRIの新鮮梗塞巣の検出は著しいが、頭部単純CTによって脳出血と広範囲なECSを否定が、現時点で最も確立した判定基準を採用している医療機関が多い現状を見ると、頭部単純CTの質を簡単に上げる方法の確立が必要である。今回、最大値投影画像を用いて赤色栓子により閉塞した脳動脈(高吸収領域)の感度を上げる方法を提案及び評価検討する。
判 定 承認
本審査は、迅速審査にて承認された。
申請者 放射線科 杉原 理菜
課 題 外傷に対する3DCTを用いた骨折の初期評価法
研究の概要 外傷全身CTより作成した3D画像を利用した骨折に特化した画像評価方法を提案する。これにより夜間救急を担当する整形領域専門外の医師及び診療放射線技師による骨折所見取り上げる確率を上げる事で、骨折の見落とし減少につながる事が期待される。
判 定 承認
本審査は、迅速審査にて承認された。
申請者 放射線科 田中 善啓
課 題 気管支動脈塞栓術に対する仮想透視画像の有用性
研究の概要 喀血症例に対する保存的治療法として、気管支動脈塞栓術(bronchial arterial embolization:以下BAE)が知られている。1974年にRemyらが大量喀血に対する有効性を最初に報告し、当初は手術適応のない患者を中心に行われていた。最近では、大量喀血などの緊急時に加え、肺癌やアスペルギルス症及び肺膿瘍などの術前の出血軽減目的までその適応は拡がってきている。気管支動脈の分岐形式はバリエーションが豊富であり、血管経が細い事もあって、BAEにおけるカテーテル操作の選択造影では、気管支動脈の同定自体が困難であることが少なくない。さらに、繰り返す喀血やBAE後の再喀血、あるいは大きな腫瘤を形成する肺癌の場合には、気管支動脈のみならず、肋間動脈や内胸動脈、外側胸動脈などの関与がしばしば見られる。このため血管造影の際に、広範囲の探索が必要となること、使用造影剤量が多くなること、X線透視時間が増大することなど、患者の不利益になる可能性が高い。当院では骨盤外傷や消化管出血に対する血管撮影時において、事前の造影CTから仮想透視画像を作成し、術前及び術中の支援画像として提供している。BAEに対する術前造影CTの有用性に対する報告はされているが、仮想透視画像によるものは見当たらない。当院では術者である救急医からBAEによる仮想透視画像の要求が多く反響も大きい。今回、後ろ向き検討によりBAEにおける仮想透視画像の有無で被ばく線量及び使用造影剤量の比較検討を行う。
判 定 承認
本審査は、迅速審査にて承認された。
申請者 外科 中村 亮太
課 題 肺癌手術症例における、周術期骨格筋減少部位の検討
研究の概要 外科手術時には、骨格筋蛋白の崩壊など様々な代謝が生じる。術前の骨格筋減少は、予後因子や術後合併症の関連要因と認識され、また、術後の骨格筋減少も予後予測因子として報告されている。しかしながら肺癌手術症例において、周術期の体組成変化にfocusした報告は少ない。今回我々は、肺癌周術期における、骨格筋の変化量部位別に後方視的に検討することを目的とした。
判 定 承認
本審査は、迅速審査にて承認された。
申請者 整形外科 森田 純一郎
課 題 透視装置と複合現実デバイスを用いた簡易ナビゲーションシステムの有効性を検討する観察研究
研究の概要 骨盤骨折に対する低侵襲な内固定方法として、経皮的スクリュー固定が多く報告されている。骨盤の形態に個人差が大きく、スクリューの至適設置経路が非常に狭いこともしばしばあり、X線透視装置を用いた一般的な方法では、10-20%程度で逸脱すると報告されている。スクリューが至適経路から逸脱すると、血管損傷、神経損傷、関節内穿破などの合併症を生じる。コンピューター支援技術の一つである術中3D透視を使用すると逸脱率が改善するとの報告が散見されるが、装置の導入コストが非常に高く、一部の施設でしか行われていない。また、脊椎領域などではナビゲーションシステムの使用も報告されるが、術中の位置合わせ(レジストレーション)操作が煩雑である、参照点獲得のために正常部位へ侵襲があるなどの課題により、一部の施設・手術でしか適用されていない現状がある。近年、術前に撮影したCTデータを再構成し、メガネ型複合現実デバイスの視野上に必要時表示して参照しながら、術前シミュレーションや手術手技を行うことが有用であった報告が散見される。本研究の目的は、骨盤ボーンモデルに対して経皮的スクリューのガイドピンを挿入する手術シミュレーションを行い、一般的な透視装置とメガネ型複合現実デバイスを用いた簡易ナビゲーションシステムが、スクリュー挿入精度の正確性や手術時間の短縮、放射線曝写量の低減につながるかどうかを検証することである。
判 定 承認
本審査は、迅速審査にて承認された。
申請者 脳神経外科 山崎 友郷
課 題 脳主幹動脈閉塞に対する急性期再開通療法におけるcombined techniqueの臨床転帰に与える影響 後ろ向き症例 集積研究
研究の概要 脳主幹動脈閉塞に対する急性期再開通療法は様々な工夫がされている。現在、当院ではstent retrieverと吸引カテーテルを組み合わせたcombined techniqueを主に用いて治療を行っている。本手技はstent retriever単独による治療に比べて手技が煩雑になる一方、初回での再開通率が高いことがいわれている。今回この方法の臨床転帰に与える影響を検討する。Historical controlの対照群として以前、主に行っていたstent retriever単独による治療成績(102例)との比較を行い、その安全性と有効性を比較検討する。
判 定 承認
本審査は、迅速審査にて承認された。