診断対象:通常ホルマリン固定標本の組織診断、凍結切片による術中迅速診断、細胞診そして病理解剖にわかれます。
当科の診断活動はすべて当院の臨床検査科と密接な協力体制の中で行っています。
患者さん・ご家族様とのインフォームド・コンセントを基本として治療方針を決定しています。がんの診療では手術、抗がん剤治療、放射線治療を組み合わせる集学的治療も行っています。末期がんや再発がんなどの終末期の緩和医療にも重点を置いています。
通常ホルマリン固定標本による組織診断 | 手術検体と生検検体にわかれます。手術検体の場合はまず標本の肉眼観察を行い、、ついで顕微鏡標本を作製し、それを顕微鏡観察して診断します。場合によっては特殊染色や免疫染色を行います。 |
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術中迅速診断 | 手術中における病名診断、あるいは悪性腫瘍での手術摘出標本の端(断端)での悪性細胞の有無、リンパ節転移の有無などを顕微鏡で観察し、診断するものです。その病院の手術のレベルを決める重要な因子のひとつです。 |
細胞診断 | 病巣から細胞を擦過してガラスに貼り付ける、液体中の細胞をガラスに貼り付ける、針を刺して細胞を吸引し、ガラスに貼り付ける、などで得られた検体を観察して診断します。比較的簡便なため、診断スクリーニングあるいは術後の経過観察などに多用されます。 |
病理解剖 | 不幸にしてなくなった方を対象とし、ご遺体を解剖し、その病気の状態を全身的に調べるものです。肉眼観察と顕微鏡標本での観察の両方がおこなわれ ます。この検索はその病気がどのようなものであったかを詳しく調べる大事なもので、かつ、明日の治療を考えるためにも大切です。 |
以上が病理診断の概要です。
病理標本作製は当院検査科病理でおこなっています。
なお、病理外来については、現在人員不足のため行っておりません。
令和4年 (2022年)1月-12月 |
組織診断 4696件(うち術中迅速診断 260件) 細胞診 1975件 病理解剖 4件(院内入院患者の剖検率 1%) |
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令和3年 (2021年)1月-12月 |
組織診断 4992件(うち術中迅速診断 226件) 細胞診 2071件 病理解剖 19件(院内入院患者の剖検率 3%) |
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令和2年 (2020年)1月-12月 |
組織診断 5334件(うち術中迅速診断 221件) 細胞診 1927件 病理解剖 10件(院内入院患者の剖検率 2%) |
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令和元年 (2019年)1月-12月 |
組織診断 5416件(うち術中迅速診断 223件) 細胞診 2073件 病理解剖 14件(院内入院患者の剖検率 2%) |
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平成30年 (2018年)1月-12月 |
組織診断 5050件(うち術中迅速診断 203件) 細胞診 1995件 病理解剖 11件(院内入院患者の剖検率 2%) |
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手術材料は一晩固定のあと切りだし → スライスした標本をさらに最低2時間固定追加→脱水パラフィン包埋。これで手術摘出検体も業務日4日目には診断書を提出できます。
診断にあたっては臨床データとの対応が重要です。症例検討会を通じ、日頃から臨床医師との交流を心がけています。
臨床-病理症例検討会を積極的に開催し、内容を深めて検討することは病院病理医師にとって今やもっとも大事な活動といえます。
免疫染色の充実。抗体管理、そのテスト、日常染色での陽性・陰性コントロールを確実に実行しています。
臨床研究推進は当センターの大きな目標です。当病理部門では臨床各科による学会発表・論文発表の病理所見を担当するのはもちろん、発表全体に対する支援を行っています。これは病理医師の重要な役割です。
「臨床-病理症例検討会 (CPC)」は病院の活動を支える大事な場です。
当センターでは臨床-病理症例検討会 (CPC: clinicopathological conference) を定期的に開催し、症例検討を行っています。これは病院に勤務する病理医師にとって、もっとも大事な活動の場となっています。この場では症例の臨床経過、検査データ、画像データ、手術所見と病理標本の肉眼所見・顕微鏡所見を相互に対応させ、症例の内容を深く検討します。
これを通じ、臨床-病理間での相互の理解をふかめ、もって症例をより深く 理解できるよう努めています。これらは臨床医研修の一環となっています。 この会では手術例と病理解剖例をとりあげています。