放射線科

CT検査

CT検査とは

 CTとはComputed Tomography:コンピュータ断層撮影法の略のことで、エックス線を使って頭や身体のデータを取って画像にする検査です。最近のCT装置は撮影時間も短く、沢山の細かなデータを取る事が出来ます。それを使って輪切りのような画像や身体を縦に切ったような画像、3D画像なども作る事が可能となりました。

CT検査 CT検査 CT検査
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検査の方法と流れ

CT検査は2種類あります。
単純CT検査:造影剤を使用しないで検査する方法
造影CT検査:造影剤を静脈から注射して検査する方法

頭部(単純)検査の場合

1.検査室入室
眼鏡・ヘアピン・ピアス・入れ歯・医療用ウィッグ(かつら)などを外します。

2.CT装置の寝台にあおむけに寝ます。

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3.担当の診療放射線技師が専用の固定具を使用し頭が動かないようにします。

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4.検査中は目を閉じてリラックスしてください。

5.検査終了後は、寝台が所定の位置に戻るまで動かないようご協力をお願いいたします。

体幹部(胸部や腹部)造影CT検査の場合

1.検査室入室
衣服や体についている金属を外します。場合によっては更衣室にて検査着に着替えます。
特に冬季は厚着の患者さんが多く、検査の待ち時間短縮の為にも検査着に着替えていただく機会が多くなりますので、ご理解とご協力の程宜しくお願いいたします。

2.CT装置の寝台にあおむけで両手を挙げた状態で寝ます。

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3.担当の放射線技師が位置を決めて検査が始まります。

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4.造影検査を受ける方は、造影剤の注射を受けます。副作用等に関して事前に確認(同意書・問診票)を行っております。また、万が一の急変時にも万全の体制で対応しますので、ご安心ください。

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5.造影剤注入後、全身に熱感が帯びてきますが正常な作用なので安心してください。検査中は呼吸による画像の歪みを防止する為、CT装置から呼吸を止めるアナウンスが流れます。「息を吸って止めてください~」それに合わせてください。

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6.検査終了後、寝台が所定の位置に戻るまで動かないようご協力をお願いいたします。また、造影剤は尿として排出されていくので、たくさん水分をとるようにしてください。

検査前の注意事項

1.妊娠中の方、または、妊娠の可能性がある方はお知らせください。
2.心臓ペースメーカー、または、埋め込み型除細動器をご使用の方はお知らせください。
3.単純CT検査を受ける方は、食事の制限はありません。
4.午前中に造影CT検査がある方は、朝食を摂らないでください。
5.午後に造影CT検査がある方は、朝食を9時までに摂り、昼食は摂らないでください。
6.どちらの場合にも水やお茶、いつも服用しているお薬は飲んでもかまいません。
 ただし、糖尿病薬は医師の指示に従ってください。
7.検査着に着替えていただく場合がありますので、着替えやすい服装でおいでください。
8.ネックレス・エレキバン・湿布・ホカロン・金具の付いた下着類ははずしてください。

造影検査に関するよくある質問

Q.造影剤とは何ですか?
A.CT検査で使用する造影剤は一般に「ヨード造影剤」と呼ばれるものです。通常、静脈から注入し撮影を行います。

Q.造影剤を使う必要があるのですか?
A.小さな病変や正常組織・臓器とのエックス線透過性がほとんど変わらない病変は、CT検査でも診断が困難なことがあります。しかし、造影剤を用いることによってこれらの病変も明瞭に描出され、より正確な診断が可能となります。このため、全身の様々な部位の検査において、造影剤が用いられています。

Q.造影剤の副作用ってどんな事がおこるのですか?
A.造影剤を注入すると少し身体が熱く感じることがありますが、すぐに消失するので特に心配することはありません。
ただし,稀に副作用が生じることがあります。症状としては多いもので吐き気、嘔吐、かゆみ、じんましんなどがあります。検査中から1時間後くらいまでにおこることが多く、程度も軽いものがほとんどですが稀に副作用として、血圧低下や呼吸困難などの症状が出る場合があります。副作用が生じたときにはすぐに適切な処置がとれる体制になっています。

Q.検査時に体重を聞かれるのはなぜですか?
A.当院では、造影剤量を体重に応じて投与しています。 検査内容によっても変わりますが、体重と腎機能のバランスを考えて造影剤量を決定します。

Q.血液検査の結果を待って検査を行う場合がありますが、それはなぜですか?
A.血液検査の項目のうち腎機能の数値を参照・確認しているためです。 静脈を通して体内に注入された造影剤は尿中に排泄されます。 そのため腎機能の数値次第では、造影剤の使用を見合わせる場合や、減量、慎重投与する必要があるからです。また、血液検査は、採血した検体が検査部に回ってから50分~1時間程度で結果が出ます(採血室の込み具合にもよります)ので、血液検査と同日に造影CT検査を受けられる場合には予約時間に十分余裕をもって来院していただくようお願いします。

Q.検査時に糖尿病の薬を服用しているかどうか聞かれるのはなぜですか?
A.糖尿病の薬のうちの一部に、造影剤と相性が良くないもの(例、メトグルコ 、グリコランなど)があるためです。それらの薬を服用していると、乳酸アシドーシスをきたす可能性があります。そのため、糖尿病の薬を服用中の方が造影検査を受けられる場合には検査前にスタッフによる確認をさせていただいております。

造影検査を受ける前には担当の先生より詳しい説明があります。また、検査に必要な書類(同意書・問診票)の内容を見て、不明な点はご質問してください。

CT検査の放射線(X線)被ばくについてのご質問

Q.CT検査では、どのくらい被ばくするのですか?
A.主な臓器の被ばく線量は表1に示す通りです。検査を行った部位での各臓器が受ける平均線量(mGy)を示しています。身体への影響については、表2に示すしきい線量(mGy)より、はるかに少ない量なので、症状が現れてくることはありません。

表1:CT検査における主な吸収線量(Shirimptoら. 1991) [mGy]
部位 水晶体 甲状腺 乳腺 子宮 卵巣 精巣
頭部 50 1.9 0.03
胸部 0.14 2.3 21 0.06 0.08
腹部 0.05 0.72 8.0 8.0 0.7
骨盤部 0.03 26 23 1.7

*空欄は0.005mGy未満(ICRP Pub87より)

表2:感受性が高い組織のしきい線量[mGy]
部位 影響 急性被ばく線量
精巣 一時的不妊 150
永久不妊 3500-6000
卵巣 一時的不妊 650-1500
永久不妊 2500-6000
脊髄 造血機能低下 500
水晶体 水晶体の混濁 500-2000
白内障 5000
胎児 胎児奇形 100
重度精神発達遅滞 5000

Q.他の病院でCT検査を受けましたが、ここでもCT検査をしても問題ありませんか?
A.他病院で検査を受けられた後の経過観察や新たな情報を得るために検査が行われることがほとんどです。仮に、短期間に複数回のCT検査を数回受けられても影響が蓄積するわけではありませんので、障害の発生につながることはありません。表2に示す通り、一度のCT検査で身体が被ばくする量は少なく、より有益な診断情報が得られるものと思います。

Q.定期的(年1回)にCT検査を受けていますが、身体に影響はありませんか?
A.年1回のCT検査で身体に影響が生じるような線量には到達しません。X線検査程度のX線量では、影響が現れることなく回復するとされています。 それよりも患者様が定期的に検査を受けられて、疾患を早期発見されることの方がはるかに有益です。



.頭部,胸部,腹部を同時に検査すると言われたのですが大丈夫ですか?
A.近年は、複数部位を同時に撮影できる性能のよい装置が使用されています。同日に複数の部位(全身)を撮影できるため短期間に検査結果が得られます。複数部位を同時に撮影した場合と、分けて撮影した場合での被ばく線量に大きな差はありません。いずれも身体に影響のないレベルです。



Q.子供がCT検査を受けるのですが、被ばく線量は大丈夫ですか?
A.表3に示すとおり、子供の放射線への感受性が成人より高いと言われていますが、身体が成人より小さいので、その分、撮影に必要なX線の量も少なくなります。したがって、CT検査でのX線による影響を心配する必要はありません。また、子供さんは将来に渡ってX線検査を受ける機会が増えますが、それによって放射線による影響が発生したという疫学的調査結果はありません。

表3:成人と比べた小児の放射線発がんに対する感受性の程度
白血病 4~5倍
甲状腺がん 2~3倍
乳がん 3倍

(草間朋子: あなたと患者のための放射線防護Q&Aより)

Q.今後、子供をつくる予定ですが、CT検査をしても大丈夫ですか?
A.妊娠されていない場合に、放射線が将来の子供に影響するかもしれないと思われているのは生殖腺(精巣、卵巣)の被ばくによる突然変異です。疫学的調査結果から放射線被ばくによる遺伝的影響の発生確率は、ほとんど問題にならないことがわかっています。

Q.子供の検査で介助のために一緒に検査室に入室しましたが、問題ありませんか?
A.CT検査に限らず、X線撮影装置は検査を受ける患者様に対して、必要な部位のみにX線を照射するように作られています。したがって、介助者が受けるのは散乱線(水道の水しぶきのようなもの)であり、直接あたる直接線に比べるとほんのわずかな量になります。これにより、介助の方の放射線による影響はありません。

Q.CT検査は急激な進歩をしてきたというが、被ばく線量は多くなっているのですか?
A.現在のX線CT装置は、撮影時間が短くなり、より高精細な画像が得られるようになっています。特にお薬(造影剤)を使った血管と臓器の描出や血流の評価には、複数回の撮影を行い被ばく線量は増加していますが、三次元画像の作成が可能になり病気の診断をより確かなものにしています。新しい装置には、被ばく低減の技術が多く搭載されており、少ない線量(被ばく量)でより品質の高い画像が得られるようになっています。
2回撮影したから、2倍の線量を受けたという単純計算にはなりません。

「参考文献」
ICRP Pub.84:妊娠と医療放射線
ICRP Pub.85:IVRにおける放射線障害の回避
ICRP Pub.86:放射線治療患者に対する事故被ばくの予防
ICRP Pub.87:CTにおける患者線量の管理
草間朋子:あなたと患者のための放射線防護Q&A,医療科学社,1996

患者さんに優しい放射線検査を目指して

日本初となる医療被ばくの線量指標を示した診断参考レベル(DRLs 2015)を基に最適化放射線を用いた検査によって病気の診断がつき、治療方針を決めることができ、放射線被ばくによる将来的な影響よりもプラスの便益を生むように、達成できる限り低く被ばく線量を最適化することが国際的な原則となっています。
医療被ばくに対する最適化のツールとして、2015年6月7日に医療被ばく研究情報ネットワーク(J-RIME)より、我が国初の診断参考レベルが正式に発表されました。当放射線部では、施設で用いる典型的な放射線線量の最適化を判定するために、DRLs2015を指標にしています。DRLs2015の詳細はJ-RIMEホームページをご覧ください。

医療被ばく研究情報ネットワーク(J-RIME)

CT検査(コンピューター断層撮影診断)の費用について

CT検査の検査費用に係るご負担額は撮影する部位やご加入の保険により異なりますが、造影剤を使用しない場合、約5~6千円程度となります。(詳しくは下記の検査費用計算例をご参考ください。)検査費用計算例[初診でCT検査のみの場合]
造影剤を使用しない検査の場合 (900点(CT検査料)+270点(初診料)+520点(断層診断、画像診断管理加算)) ×10円=16,900円  ●3割負担の場合   16,900円×0.3=5,070円
造影剤を使用した検査の場合 (900点(CT検査料)+270点(初診料)+520点(断層診断、画像診断管理加算)+ 500点(造影剤使用加算)+造影剤の金額)×10円  =21,900円+造影剤の金額  ●3割負担の場合   (21,900円+造影剤の金額)×0.3=6,570円+造影剤の金額×0.3

※費用は保険や諸条件により変動します。詳しくはお問い合わせください。
※この費用は当院における算出額ではなく、一般的な病院で計算される例を元に記載しています。また、国が定める診療報酬制度により、病院によって費用が異なりますので、ご注意ください。