救急科

診療案内

はじめに

 当院救命救急センターは昭和56年4月に、国の認可を受けて以来、約30年間にわたり地域の救急医療に従事してきました。この間、各地の大学救急部から、外科研修を目的とした救急医を多数受け入れ、その先生方とともに救命救急センターを運営し、重傷外傷・腹部救急疾患・循環器疾患・脳血管疾患など、ありとあらゆる救急疾患に対応してきました。さらに平成22年7月より茨城県ドクターヘリの基地病院に任命されたのに伴い、独立した救急科を設立し、さらに救急医療に力を入れています。

当院救命救急センターの役割と目的

 当院救命救急センターは、茨城県中央部(県央)の三次救急医療施設として、生命の危機に瀕している重症の救急患者さんを24時間体制で受け入れ、初療から集中治療、退院までの全身管理を行っています。消防・救急隊からの直接依頼による救急車来院の患者さんだけではなく、他の医院や診療所、一次・二次救急指定病院からの紹介の患者さんも多数来院されます。いわば県央から県北までの病院の中で、最後の砦としての役割を果たしています。

沿革

昭和56年04月 救命救急センターに指定
~30年間にわたり全科協力態勢で地域の救急医療を支える~
平成22年04月 救急科設立
平成22年07月 茨城県ドクターヘリの基地病院としてドクターヘリを運行開始
(水戸済生会総合病院と共同運行)
平成23年04月 茨城町消防本部と共同でドクターカー運用開始
平成25年11月 基幹災害拠点病院に指定
平成27年03月 原子力災害拠点病院に指定

施設

病院全体の病床数は500床です。

 当院救急棟1階の救急患者さん専用入口近くに、重症患者さんの初期治療室を2部屋設置し、救急車などからの救急患者さんを受け入れています。初療室には、各種医療機器に加えて、レントゲン撮影装置や小手術が行える設備があり、専従の看護師も配置されています。また初療室に隣接してCT、MRIがあり24時間 365日使用することができます。

 なお、救急外来には、上記の他、徒歩で来院される救急患者さんのための診察室2部屋と点滴注射や、経過観察のための観察室1部屋(2床)が設置されています。これらの部屋は多数の救急搬送を同時に受け入れた場合、初療室として機能します。
 救命救急センターの病床数は、合計で30床です。重症患者さんの厳重な全身管理のためのオープンベッド6床、ICUに準じた設備の重症個室7床、やや症状の軽快された患者さんのための4人床4部屋、無菌クリーンルーム1床、脳死判定部屋1部屋などがあります。

 当院の救急医療に対する役割上、常時発生する新たな重症患者さんの受け入れに備えて、病床を確保しておく必要があり、状態が落ち着き次第、一般病棟への転棟や連携する他の医療施設への転院を行い、入院期間の短縮を図っております。

診療体制

 下記の救命センター所属スタッフを中心に院内一致協力して救急診療にあたっています。
24時間365日体制で各科オンコールが設定されており、全ての科の重症患者さんにいつでも対応可能です。医師・看護師・放射線技師・検査技師・医療機器を整備する臨床工学技師・ケースワーカー・栄養士・機材および環境整備の事務職員など、病院の全総力を結集し、患者さんを支えるためのチーム医療を目指しています。

 また救命センター満床の際も、重症患者さんについては可能な限り当院で受け入れ、初期治療や蘇生処置を行った上で他院に転送する方針をとっています。

救急科担当疾患

基本的には、すべての重症の救急疾患が対象となりますが、主なもののみ列挙すると以下のとおりです。

外傷 外傷は当院救急科のもっとも得意とするところです。主なものは以下のように治療を行っています。
-頭胸腹部外傷 救急科が初療を行い、必要に応じて手術を外科・脳神経外科と合同で行います。その後の集中治療も救急科で担当します。
-骨盤骨折 救急外来で初療後、血管造影室に直接入室し、そこで血管造影・塞栓術を行うと同時に整形外科と合同で創外固定を行います。その後の集中治療も救急科で行います。
-その他多発外傷 胸腹部外傷に関しては救急科、頭部外傷については脳神経外科、四肢骨折など関しては整形外科が担当し、多発外傷は救急科が主科となり各科と相談しながら治療します。
-重症熱傷 初療から救急科が担当し集中治療も行うと同時に、形成外科と合同で早期の植皮術などの治療を行っています。
急性腹症 もう一つの救急科の得意分野です。消化管穿孔や腸管壊死などの急性腹症は主に救急科で手術適応を判断し、手術自体も外科と合同で救急科が行い、その後の集中治療も担当します。
心肺停止 難治性の心室細動などに対しては救急外来に人工心肺(PCPS)を設置してあり、来院と同時にまず人工心肺を用い循環を確保したうえで心臓カテーテルや目標体温療法などの治療を行います。
中毒など 有機リンや硫化水素など特殊な中毒に関しては当院救急科で集中治療を行います。その分睡眠薬の過療摂取など特別な治療を必要としない場合には他院にお願いする場合があります。
緊急被ばく医療 当院は原子力規制庁の新たな基準により平成29年3月に、県から、原子力災害拠点病院に指定されました。有事の際には、スクリーニングを行い、必要だとされた方に対し除染を行うことができます。また被ばくした外傷患者さんなどに対する治療が可能です。東海村の臨界事故や、福島原発の放射能漏れの際にも多数の患者さんを受け入れました。
災害医療 当院は、平成25年に基幹災害拠点病院の指定をうけています。東日本大震災では、県央地域で唯一、100名をこえる傷病者の受け入れと治療にあたり、常総水害では、災害医療の中心的役割を担いました。

実績

過去の救急搬送受け入れ台数は以下の通りです。
特に、重篤・重症の患者さんの割合が多いのが当院の特徴です。

年度 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021
救急車受入れ数 1,848 1,969 2,976 2,882 2,901 2,615 2,833 2,746 2,932 3,000 3,114 3,260 2,870 2,941
救急車初診 1,311 1,359 2,275 2,132 2,111 1,879 2,021 1,993 2,029 2,091 2,182 2,367 2,104 2,106
救急車再診 537 610 701 750 790 736 812 753 903 909 932 893 766 835
救急車入院 1,398 1,486 1,806 1,650 1,706 1,659 1,775 1,696 1,910 2,058 2,122 2,259 1,718 2,076
ドクタ―ヘリ出動件数
(2010年7月~茨城県全体)
    289 580 852 703 672 628 678 728 850 804 652 712
円グラフ