外科

診療案内

 当院外科では消化器・肝胆膵、呼吸器、乳腺、甲状腺、内視鏡下手術、救急など幅広い領域を扱っています。それぞれの専門医を中心とした質の高い医療を提供できるように努めています。

治療方針

 患者さん・ご家族様とのインフォームド・コンセントを基本として治療方針を決定しています。がんの診療では手術、抗がん剤治療、放射線治療を組み合わせる集学的治療も行っています。末期がんや再発がんなどの終末期の緩和医療にも重点を置いています。

治療実績

令和5年の総手術数は929例で、全身麻酔による手術数は836例でした。食道、胃、大腸、虫垂、肝胆膵の分野で腹腔鏡下手術を行っており、ロボット支援下手術(ダビンチ手術)も導入しております。主な疾患の手術数は次の通りです。

手術数 食道疾患13例(悪性腫瘍4例、鏡視下手術4例)、胃十二指腸疾患45例(悪性腫瘍35例、鏡視下手術3例)、胆嚢摘出・総胆管結石146例(腹腔鏡下胆嚢摘出術76例)、肝胆膵疾患39例(肝切除26例、膵臓切除13例)、大腸疾患159例(大腸悪性腫瘍117例、鏡視下手術41例)、肺胸壁縦隔疾患91例(肺悪性腫瘍58例、鏡視下手術80例)、乳腺疾患198例(乳腺悪性腫瘍186例、乳房温存手術42例)、鼠径ヘルニア102例(鏡視下手術35例)、汎発性腹膜炎25例、急性虫垂炎29例(鏡視下手術21例)

治療法のご案内

 治療法のご案内
 各種がんの治療は基本的に各学会のガイドラインに従い行っています。

食道癌  当院は、食道外科専門医1名、食道科認定医1名体制で, 食道手術の専門資格をもったスタッフを中心に食道疾患の外科治療を行なっております。
食道がんに対する食道切除再建手術は、頸部、胸部、腹部の手術操作を伴う、侵襲の大きな手術ですが、胸腔鏡や腹腔鏡を組み合わせた、体への負担の少ない手術を積極的に行なっております。手術治療のみではなく、消化器科や放射線治療科と連携し、化学放射線療法や、化学療法、放射線療法、食道ステント留置などの治療も行なっております。
 また、がんの手術以外にも、食道裂孔ヘルニアに対しての腹腔鏡を用いた修復術も行なっております。
 食道がんと食道がんの治療についてはここをクリックしてください。
胃癌  当科では手術の安全性とがんの根治性を第一に考え、がんに対しては進行度に合わせて胃癌治療ガイドラインに沿った治療を行っています。適応となる患者さんにはより体への負担が少ない腹腔鏡下胃切除術を施行しています。一方で開腹手術を要するような進行胃がんでは、手術の根治性を高めるために抗がん剤治療を手術の前後に組み合わせる場合があるなど幅広い治療戦略を取り、個々の状況に応じて手術に臨んでいます。2018年4月より保険適応となった胃癌に対するロボット支援下腹腔鏡下手術への取り組みも開始しています。
代表的な手術の術式には以下のようなものがあります。
1. 幽門側胃切除術 (胃の出口側を切除)
2. 胃全摘術 (胃の全体を切除)
3. 噴門側胃切除術 (胃の入り口側を切除)
4. 分節胃切除術 (胃の中央部分だけを切除)
5. 胃部分切除 (胃の一部分だけを切除)
 胃のどの部分に病変があるか、どの程度の大きさか、病理検査によるがん組織の種類、進行度などを鑑みて術式を選択します。他の部位の手術でも同様ですが、手術に際しては内容や合併症の可能性などについて御説明いたします。
胆石症  胆嚢結石症・急性胆嚢炎急性期に対しては、腹腔鏡下胆嚢摘出術を第一選択としています。しかし、炎症や癒着が高度な場合などでは開腹手術に移行することがある他、安全性・確実性を優先して最初から開腹手術を選択することもあります。
 総胆管結石症に対する手術は、消化器科医師による内視鏡的胆管結石除去術が困難な症例を適応としています。手術中に胆道鏡検査や胆道造影検査などを合わせて行い、結石の遺残がないように確認をしています。また、胆管内にドレーンを留置することにより、胆汁漏や胆管狭窄の予防を図ることに加え、結石の遺残があった場合にも対応できるようにしています。
肝癌・胆嚢胆管癌・膵臓癌 肝胆膵
肝胆膵の悪性腫瘍に対する治療としては局所療法、手術による切除、化学療法(抗がん剤)、放射線療法があり、癌の進み具合(病期)や患者さんの状態に応じて選択し、消化器内科と協力して治療に当ります。当院外科では、最新の診療ガイドラインに沿って年間30-40例の肝胆膵の悪性腫瘍手術を行っております。肝胆膵外科学会・高度技能専門医、日本肝臓学会・肝臓専門医、内視鏡外科学会・技術認定医等の資格を取得したスタッフが在籍し、チーム一丸となって肝胆膵の外科診療に望んでおります。

肝臓
肝切除の方法としては①開腹肝切除と②腹腔鏡下肝切除があります。
①開腹肝切除
開腹肝切除は大きな傷が必要になりますが、あらゆる処置を直視下に確実に行うことが可能であり、不意な出血にも対応しやすいため、複雑な肝切除や大きい腫瘍の切除の場合にはこちらを選択します。

②腹腔鏡下肝切除(低侵襲肝切除)
腹腔鏡下肝切除は小さな傷で腫瘍を切除することが可能であり、傷の痛みの軽減だけではなく、出血量の軽減、早期の回復がみられ、入院日数を短くし社会復帰を早くすることが可能になるとされています。癌の根治性という点でも開腹手術と遜色ないと言われています。肝臓の一部を切除する部分切除だけではなく、亜区域切除、区域切除、葉切除といった大きく肝臓を切除する場合でも腹腔鏡下手術の対象となります。当院では3D構築された肝臓の地図の作成、ICG蛍光法を用いたナビゲーション手術を導入しており、腫瘍の同定、過不足のない切除範囲の決定に有用です。また2022年より保険収載されたロボット支援下肝切除(ダビンチ肝切除)も導入準備中です。ただし全ての症例で低侵襲肝切除が行えるわけではありませんので、その適応に関しては担当医にご相談ください。

その他、肝血管腫、肝嚢胞などの良性疾患に対しても大きさや症状に応じて切除手術を行っており、低侵襲手術も適応としております。
肝臓がんと治療についてはここをクリックしてください。

膵臓
膵癌や膵内分泌腫瘍、膵嚢胞性腫瘍に対して手術を行っております。腫瘍の部位により膵臓の一部・十二指腸・胆管を一塊で切除する膵頭十二指腸切除や、膵臓の一部と脾臓を切除する膵体尾部切除等を行います。体にとって負担の大きい手術となりますが、もともと元気な方であればご高齢でも手術の対象となることもあり、患者さんの状態と希望を考慮しながら最適と思われる治療を選択します。

胆道
胆道癌は発生する部位によって肝門部領域胆管癌、遠位胆管癌、十二指腸乳頭部癌、胆嚢癌に分けられます。切除手術となる場合、発生部位に応じて肝葉切除+尾状葉切除+肝外胆管切除や胆嚢床切除、膵頭十二指腸切除が選択されます。いずれも体に負担の大きい手術となりますが、やはり患者さんの状態や希望を元に治療法を相談して決定します。
大腸癌  基本的には最新のガイドラインに基づいた標準医療を行っています。結腸癌・直腸癌では、腹腔鏡下大腸切除術を積極的に取り入れる方針としていますが、進行癌や患者さんの状態によっては開腹手術を行う事もあります。直腸癌では根治性に加えて肛門機能温存や膀胱機能・性機能温存も重視しています。早期直腸癌に対しては、経肛門的鏡視下手術(TEM)のような局所切除も行っています。いずれも適応および患者さんの全身状態や背景を考慮して治療方針を選択しています。進行直腸癌では、術前に化学放射線療法を行ない、根治性を高めることもあります。最近は高齢の患者さんが増えており、なるべく低侵襲な治療を行う事もあります。また、人工肛門を作成された患者さんに対しては、ストーマ外来で創のケアや装具の使い方などについてきめ細かい指導を行っています。化学療法については消化器内科や各科と連携し、標準治療を行いますが、個々の患者さんに合わせて治療を選択しています。肝転移や肺転移などの遠隔転移に対しても肝臓外科、呼吸器外科などと協力し切除可能であれば切除を行っています。腫瘍による腸閉塞や消化管穿孔を発症し、緊急手術を要する患者さんの受け入れも積極的に行っています。
呼吸器外科  現在は肺がんや気胸、縦隔腫瘍が主な疾病です。20年以上の経験をもって、手術用カメラを使用して小さな傷で行う胸腔鏡補助下の手術(VATS)にも精通し、肺がん、気胸、転移性肺腫瘍や肺良性腫瘍、縦隔腫瘍、肺生検などに広く応用しています。肺機能温存とともに、手術の精度をもあげて取り組んでいます。
 常に患者さんの立場に立ち、患者さんを全的な存在として接し、誠実な診療、呼吸器内科や放射線科と連携し、手術だけでなく、現在のガイドラインに沿った診断と治療に心がけております。
乳癌  初発乳癌の手術では、約半数近くに乳房温存手術を行っています。術前化学療法を行ってから手術を行うこともあります。乳房温存手術を行わない場合には乳房切除術を行いますが、患者さんの希望や進行度に応じて、形成外科に依頼し乳房同時再建を行うこともあります。
 また、腋窩リンパ節郭清についても、センチネルリンパ節生検を取り入れ不要な腋窩リンパ節郭清を避けるようにしています。針生検や術後の病理診断結果により、乳癌の治療方針を決定し、必要に応じて放射線治療や抗ホルモン療法、化学療法を行っています。
鼠径ヘルニア  当院では鼠径部切開法によるメッシュプラグ法やダイレクトクーゲル法、従来法に加え腹腔鏡手術(TAPP法)も可能であり、多くの治療法選択が可能です。個々の患者さんの状態、希望等に合わせて治療法を選択することができます。麻酔方法も麻酔科と連携の上、全身麻酔や腰椎麻酔、局所麻酔など患者さんの状態に合わせて選択しています。また、嵌頓ヘルニアに対する緊急手術の受け入れも積極的に行っています。

外来診療について

 外科外来は、主に予約診療のため、予約外の初診の方は待ち時間が長くなることがあります。地域医療連携室をご利用の場合は、外来受診の予約が取れていますので、待ち時間は比較的短くなります。外科外来については予約変更を電話で受け付けておりますので、外科外来にお問い合わせください。なお、電話での診療予約は行っておりません。

入院診療について

 新患の方には、外来受診時や入院時に、病名告知などについてのアンケートを行ない、診療中のインフォームド・コンセントの参考にしています。自分の病名をくわしく知りたいとか、予後などについても是非とも知りたいなど、ご自分の気持ちをアンケート用紙に記載してください。

救命救急センターについて

 毎日、24時間体制で、複数医師(チーム)が外科的救急患者の治療にあたります。多発外傷や院外心肺停止例などでは、その初期治療に外科医師がたずさわることが多くなっています。

お問い合わせ

〒311-3193 東茨城郡茨城町桜の郷280
水戸医療センター 外科
電話:029-240-7711  FAX:029-240-7788